君のそばで会おう ~We dreamed it~
トラウマの先
想太は飛行機が福岡空港へ向けて下降する中、自分の中で閉ざしていた思い出の扉が少しづつ開き始めているのが分かった。
それはもうどうしようもできない。
想太は、フラッシュバックのように辛い過去が押し寄せて来ない事を祈るだけだった。
でも、隣で着陸態勢の飛行機に緊張している可南子を見ると、笑いそうになる。
飛行機は苦手だと言っていた可南子は、可哀想なくらいに震えていた。
可南子がいてくれて、本当によかった・・・
もし、俺が一人だったら、孤独に怯える12歳の少年に戻っていたに違いない。
想太は、可南子に話しかけた。
「いつものエンジン音となんか違うぞ。
この飛行機、やばいかも・・・」
可南子は泣きそうな顔で想太の手を握りしめてきた。
「想ちゃん、怖い・・・」
「大丈夫だよ、可南子。
もし堕ちることがあったら、俺が、可南子だけは助けてやるよ」
「バカ、堕ちるだなんて言わないで」