君のそばで会おう ~We dreamed it~
プレゼント
可南子は、ジーンズにパーカーという格好でタクシーに乗ってきた。
髪は、一つに束ねてポニーテールにしている。
「なんか、小学生みたいだな」
想太がそう言うと、
「想ちゃんこそ、部屋に行ったんだから着替えてこないとだめじゃない」
「だって、面倒くさいし、俺はこれでいいの」
「スーツは何着持って来たの?」
「これだけ」
「え~」
想太は、可南子のこの性格が大好きだった。
想太に関しては、必要以上に過保護な可南子。
口うるさかったけど、それが、想太には心地よかった。
そして、想太は、暗いせいで学校の近くに来ていることに気づかなかった。
可南子は黙ったままだ。
タクシーの運転手が車を止めて聞いてきた。
「この辺りでいいですか?」
想太が答えられずにいると、可南子が小さな声で想太の耳に囁いた。
「想ちゃん、このまま引き返そうか?」
「大丈夫。
すみません、ここで降ります」