君のそばで会おう ~We dreamed it~
可南子は想太に、もう多くの事は語らなかった。
想太は校庭の遊具で子供のように遊んでいる。
可南子は、そんな想太の事をブランコに揺られながらぼんやりと見ていた。
私達の失われた15年は、大人になった今でもそれぞれを苦しめている。
でも、それでも、私の傷は想太の傷に比べればきっと浅いだろう・・・
可南子は、想太の前では明るく振舞おうと心に決めた。
可南子が泣けば、想太も泣きたくなる。
可南子が笑えば、想太は大笑いをする。
それが、今までの可南子と想太の関係だった。
それは、きっと今でも変わらない・・・
「想ちゃん、もうそろそろ帰ろうよ」
可南子は明日の仕事の事を考えたら、少しでも想太に休んでほしかった。
「え~、まだ、大丈夫だよ」
想太はそう言いながら、可南子の横にきてまたブランコに座った。
「可南子、もう一つだけ俺につき合って。
あの公園に行ってみようよ」