君のそばで会おう ~We dreamed it~
公園は、何も変わっていなかった。
小さなベンチと、広場だけ・・・
かろうじて、電柱の街灯がベンチを照らしていた。
想太は大きく深呼吸をして可南子を見た。
可南子は階段を上ったせいで、肩で息をしてベンチに座っている。
想太の中で、過去の出来事が走馬灯のように甦ってきた。
目を閉じて想太は何度も自分に言い聞かす。
もうあの頃の俺じゃないと・・・
公園からの夜景を眺めながら、想太は激しく脈打つ心臓を抑えることができずにいた。
「想ちゃん、綺麗だね」
想太は近くにきた可南子を感じて、少し心が落ち着いた。
それでも頭の中に孤独だった自分の過去が投影されて、想太は息をすることだけで精一杯だった。
これがフラッシュバックというものなのだろうか・・・
すると、可南子がそっと想太の手を握ってくれた。
想太は、無意識のうちに可南子の手を強く握り返していた。