君のそばで会おう ~We dreamed it~
「想ちゃん、ちょっと、ここで待ってて」
可南子はそう言うと、水道のある方へ歩いて行った。
可南子が、あの日、土の中に埋めた想太へのプレゼントが、こんな形で出てくるなんて夢にも思わなかった。
水道の蛇口をひねり可南子はそのペンケースをきれいに洗った。
ラッピングをした包装紙はもう溶けてなかったけれど、このペンケースは15年もの間、土の中でずっと待っていてくれた。
私が想太へいつか渡せる日を夢見て・・・
可南子は、涙があふれてきた。
でも、今は泣いたらいけない。
可南子は想太が座っているベンチへ戻り、隣に腰かけた。
「想ちゃん、私達の近くに神様はいてくれたみたい」
可南子はそう言って、想太の膝の上にそのペンケースを置いた。
「これは?」
想太は、恐る恐るそのペンケースを手に取り、携帯の明かりの下でそれをじっくり見ていた。
「これは・・・」
可南子は泣きそうになるのをグッと堪えて、笑顔で想太を見て言った。
「これは、15年前の想ちゃんへの誕生日プレゼントだよ」