君のそばで会おう ~We dreamed it~
想太は、胸が苦しくて、切なくて、可南子を抱きしめていないと正気を失いそうだった。
可南子にどういう言葉をかけていいのかも分からない・・・
可南子は、ずっと俺を待ってくれていた・・・
この土色に変色したペンケースが15年の月日の長さを物語っていた。
「想ちゃん、想ちゃんが思っている程、福岡の街は冷たくないよ・・・
想ちゃんのことを待っている人は他にもいるでしょ?
クラスの友達だってそうだし、宮内先生もきっと待ってる・・・」
可南子は体を起こし、想太の顔を優しく両手で包みこんだ。
「このペンケースだってそう。
15年も待ったんだから・・・」
可南子はそう言うと、あの頃の幼い自分を思い出し一粒の涙をこぼしてしまった。
想太は、もう一度可南子を抱き寄せた。
「可南子、可南子にキスしたい・・・
あの時みたいに、この場所で・・・」
想太は可南子の涙があふれる瞳に優しくキスをした。
そして、このベンチで二人は、当たり前のように唇を重ねた。
優しく、そして激しく・・・