君のそばで会おう ~We dreamed it~
中学生になったとはいえ、想太はまだ幼かった。
急に一人ぼっちになった想太の事を思って、宮内は何度も泣いた。
でも、想太に温かい手を差し伸べてくれる親戚がいたことが、本当に嬉しくてたまらなかった。
「先生、東京に行ったら可南子のことを捜していい?」
「可南子?
想太、よく考えてみてごらん。
可南子とはいつでも会えるんだ。
でも、今の想太はまずは東京の生活に慣れなきゃならないし、勉強も運動も一生懸命頑張らないといけない。
可南子だって、今、必死に頑張っているんだぞ。
想太が高校生か、大学生になってから会えばいい。
必ずいつかは会えるんだから」
「分かった・・・」
大きなリュックを背負った想太は、宮内に丁寧に一礼した。
「先生、今までありがとうございました」
宮内は溢れる涙を抑え切れず、涙声で最後にこう言った。
「想太、どうしても我慢できなかったら、すぐに福岡に帰ってこい。
そん時は、先生の子供にしてやるから。
安心して帰ってきていいんだぞ」
想太ははにかみながら宮内に手を振った。
「先生、さようなら」