君のそばで会おう ~We dreamed it~
12歳のままの俺
可南子の異動
「朝倉くん、ちょっといいか?」
山本課長に呼ばれ、可南子は山本のデスクの横に立った。
「はい、何でしょうか?」
可南子はまた想太の事だと思い、今度は何を頼まれるのだろうと少し気分が落ちていた。
「異動の件なんだけど」
可南子はすっかり忘れていた。
可南子は1年前に異動届を会社に出していた。
人事部の人から、この4月に受理されそうだと聞いていたのだが、色々な事情が絡んで可南子の4月の異動の話は流れてしまった。
そして、まだこの課に留まっていたら、想太が赴任してきた。
この2か月近く、可南子はバタバタしていたために、その話を思い出すこともなかった。
「夏の人事異動で、動きがありそうなんだ」
「そうなんですか・・・」
「でも、第一希望の福岡は無理で、第二希望の長崎に決まりそうだけどそれでよかったかい?」