君のそばで会おう ~We dreamed it~
可南子は、もうこの会社に勤めて5年が経った。
その5年の間には色々な事があり、もうそろそろ違う場所で働きたいとずっと思っていた。
中学から親元を離れた可南子は、福岡に帰ることに義務感を覚えていたがどうしても福岡がいいわけではなかった。
長崎は、可南子が大好きな街だった。
3か月前の可南子なら、二つ返事で喜んでいただろう。
でも、今の可南子は、想太の存在が胸に引っかかり即答することができない。
「朝倉くん?」
山本がもう一度聞いてきた。
「はい、分かりました。
長崎で大丈夫です。
よろしくお願いします」
真面目な可南子は、今さら異動届を撤回するなど無理だと考えその決定を承諾した。
「すみません。
課長、この事を部長は知ってますか?」
「まだ、知らないと思うけど。
でも、この部署の課長決裁が終われば、部長に上げるから、部長が知るのも時間の問題だと思うよ」