君のそばで会おう ~We dreamed it~
色々な事情
可南子は、想太に人事異動の事実を知られたと悟った。
部長室から出てきた想太の顔は、明らかに怒っている。
可南子は想太と目を合わせないようにしていると、想太と山本課長が話している内容が可南子のデスクにも聞こえた。
「昨日、人事課の依頼で異動を希望している人間と面接をしてほしいと言われてるので、14時に朝倉さんにミーティングルームに来るよう伝えてください」
想太はそれだけ言って、部長室へ帰って行った。
「朝倉くん、聞こえた?
そういうことだから」
山本は気の毒そうに可南子を見て、「頑張れ」と言ってくれた。
可南子はジタバタしてもしょうがないと思った。
この異動届は去年に出したものだし、その時は想太はこの場所にはいなかった。
それに色々な事があり過ぎて、可南子は東京を離れたいと心から思っていたのも事実だった。
色々な事?
それだけは、絶対に想太には言えない・・・