ブラックⅡ-想い-
「ちょっと!」そう叫ぼうとしたところをレイジの手が止める。
ギリギリと握られた私の拳をレイジの温かい手が優しくそっと包み込んでいて
振りかえったその視線がレイジと絡まり
レイジは口角を少し上げる。
まるで「落ち着け」というみたいに。
落ち着いてなんていられないし今すぐにでも怒鳴り散らしたいくらいなのに
レイジはそれをさせてはくれない。
「久美子、やめろ」
その私の代わりに口を開いたのは
レイジのお父様
たったそれだけの小さな言葉なのに
低く重く響くその声に、そこにいた全員が息を飲んだ
「だって…」義理母はそんな歯切れの悪い言葉を言いかけたけれど、もうそれ以上は何も言わず、いや言うことができず
ギロリとレイジを睨み付けている