美しき夜、北斗七星が輝く
レストランで個々のお会計を終え
巨大迷路へ向かう
「こんにちはー!
4名様ですね?
丁度4通路ご用意しておりまーす!」
案内係のスタッフさんの言葉に
あたしたちは円状に向き合う
「4通路だって
じゃあ1人1通路だね」
「皆がライバルってことだね?
私は絶対に負けないよー!」
「1位を取るのはこの俺だ!」
「僕だって言ったでしょ?」
「…あたしは…
1位を取る前に
無事ゴールに辿り着けるよう頑張ります…」
「黒木さんは…
自然の森で迷子になったもんね」
「白羽くん!
それあたしの黒歴史だから言わないで!
…まあ大事な思い出でもあるけど」
迷子になったのは黒歴史だけど
迷子になれて良かったという思いもある
迷子になったから
あたしは彼に気持ちを伝えられたのだから
「僕にとってもあれは忘れられない出来事だよ」
「…ありがと」
「おやおやー?
あのおふたりはカップルですか?
お似合いですねー」
「バカップルですよアレは」
「樹…
まぁその通りだけどね!」
「お客様たちも
第三者の目から見ればバカップルですよ?」
「…スタッフさん
なかなか毒舌ですね…」
「ね…吃驚(びっくり)だよ私」