美しき夜、北斗七星が輝く
突然のことに信じられなくて
僕はその場に放心した
何も聞こえない
まるで僕だけしかいない世界に紛れ込んだ気分
「…………」
音楽教師からプリントを預かったらしい黒木さんは
手に重そうにプリントを持って
僕の横を通り過ぎて行った
「……黒木さん!」
気が付けば引き止め
自分から小走りに黒木さんに近づいた
「重そうだね
半分持つから貸して?」
教科書を脇に抱えて聞いてみると
黒木さんは目を伏せた
「……良いよ
あたし1人で持てるから大丈夫
…それじゃ」
タッと踵を返して行ってしまう黒木さん
僕は追いかけることもしないで
ただその場に立ちつくしていた