美しき夜、北斗七星が輝く







髪の毛を梳かし終えた佐木さん

今度はポーチを取り出して

唇にリップを塗り始める

そして鏡を見て満面の笑顔

どうやら笑顔の練習中らしい

熱心というか…授業中にやるかというか…




そして再び白羽の机を叩き

練習した笑顔を見せているらしい

満面の笑みであろう佐木さんと違い

白羽は少し苦笑い




美夜もそうだけど…

最近ふたりから笑顔ってなくなったよね…

どれだけ相手が自分の笑顔の源なのよって言えばそれまでだけど



樹がいるからわかる

やっぱり好きな人の前では笑顔でいたい

練習はしないけどそこは佐木さんに共感




前のふたりは幸せそうで…

何も会話はしていないけど

目が合えば自然とふたりして笑って

“一緒にいるだけで幸せなんです”って空気がダダ漏れで

見ているこっちは「ご馳走様です」って感じだった




でも今のふたりは…

笑顔なんてなくて…

それよりも目が合うこともなくなって…

笑ったとしても…作り笑いって感じで

ちっとも幸せそうにも嬉しそうにも見えない






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