美しき夜、北斗七星が輝く
「…最近体調良いんだね」
「あっ…うん…まあね」
「そっか…じゃあね」
僕の横を通り過ぎようとする黒木さん
あの音楽室からの帰り道が蘇る
「……待って!」
行こうとしたその腕を掴んだ
だけど黒木さんは振り返らない
「……黒木さ…」
言いたいこと沢山あるのに
何にも浮かばない
口から出てくるのは息だけ
言葉なんて一切出て来ない
「……ごめんね白羽くん」
僕の手から
黒木さんの腕がすり抜けて行く
再び掴むことは出来ず
黒木さんはそのまま行ってしまった