美しき夜、北斗七星が輝く
お母さんや松永先生から手ほどきを受け
あたしはICUに入った
入ったことなかった
菌1つ入れることが出来ない場所
複雑な機械が並び
多くのベッドが置かれていた
その1つに白羽くんがいる
「……白羽くん」
マスク越しに話しかける
薄い透明なカーテンが間にあるから触れられない
「皆ね…白羽くんが目覚めるの待っているんだよ
だからね…早く目覚めてね?」
触れられないのがもどかしい
「白羽くん言ったよね?
あたしが白羽くんの世界に色をつけてくれたって
それはあたしも一緒だったんだよ
白羽くんに恋をして
知った色や世界がいっぱいあるんだよ
萌とだって
きっと色々本音を打ち明けられる関係じゃなかったかもしれない
白羽くんに会えたから色々話せる関係になったんだよ
柿沢くんだって
きっと白羽くんに恋しなければ
絶対に話したりしなかった関係だと思う
梓紗とだって
白羽くんと会わなくちゃきっと前と同じくうわべの関係だったと思う
梓紗って呼べるようになったのは白羽くんのお蔭だよ
金森くんとだって
白羽くん絡みで初めて話したんだよ
きっと白羽くんがいなくちゃ話さなかったよ
佐藤先生だってそう
ただ担任と生徒って関係だけだったよ
白羽くんと出会うきっかけの正美さんが
佐藤先生の母親だったからだよ
白羽くんと会わなくちゃ
松永先生や松本先生
白羽くんのお兄さんたちや心さんに会わないで
きっと終わっていたと思う
白羽くんが
あたしと多くの人を会わせてくれたんだよ」