美しき夜、北斗七星が輝く
萌side
「…ここはどこでしょうか?」
私は迷路の通路のど真ん中に立って呟いた
その呟きは丁度吹いた風によって消えた
美夜みたいに方向音痴じゃないはずなのに
どうやら小谷萌ちゃんは迷子になってしまったみたいです
無事にゴールに辿り着けるかな?
方向音痴でも辿り着けるって
入り口の毒舌スタッフさんは言っていたけど
何だか心配だなぁ
「これじゃ樹や白羽に先越されちゃうよ」
独り言をこぼして歩きだす
やっぱりさっきの道右へ行けば良かったかな?
左へ来てしまったのがいけなかった?
「……ん?」
思えば次の分岐点まで真っ直ぐに道が続いている
綺麗なほど真っ直ぐに
まるで校庭に引かれた50メートル走の白線みたいに
「…走ってみようかな?」
あたしは誰もいないことを良いことに
手を地面に付きお尻を高くする
まるで陸上選手みたいなポーズを取った