美しき夜、北斗七星が輝く
「…辛いんなら
早めに言ってね?」
「うん……
小谷さん
黒木さんと樹が見えたら教えて」
「わかった…」
頷いてふたりが消えていった方向を見る
心の中ではわかっていた
何故白羽がそんなことを頼んだのか
きっと戻ってきたら
今の辛そうな感じが嘘のように
さっきみたいに明るく振る舞うつもりだ
それが演技なのか本当なのか
それは白羽本人しかわからない
「……あ」
「戻ってきた?」
「うん」
頷くと白羽は顔を上げた
顔色は…悪いように見えない
「……はあ」
1回深呼吸をしたと思ったら
すっくと立ち上がった
私も反射的に立ち上がる
「お待たせー!」
「悪いな待たせて」
「気にしないでふたり共
はい黒木さん」
「ありがと!」
「じゃ
どこ行くか決めるか
な?萌」
「うんっ」
予想通り
嘘のように白羽は変わらない笑顔を浮かべている
倒れなきゃ良いけど…
私は笑顔を浮かべながら
心の中に消えない罪悪感を抱えていた