イジワル社長と偽恋契約
仕事柄挨拶慣れしている方の私だが、

これはまた別の話で緊張がピークに立っているのが正直な所。


彼氏のご両親に会うなんて…

初めてのことだし…ちゃんとやれるか不安だな。






「心配するな。俺のお袋は普通のおばさんだし…それに俺が一緒なんだから」


旭さんはそう言って優しく微笑むと、私の手をそっと握りしめた。

不安な気持ちが魔法みたいにすっと消えていくのがわかる…





「はい…」


私は旭さんの手をぎゅっと握り返した。












「す、すごい…」


新幹線から電車を乗り継いで到着した家は、それはそれはおおきくて立派な家だった。

周りは住宅街だけどここが一番目立ってる…自宅というよりは豪邸?

とにかくすごいとしか言いようがない。





ガチャ


「ただいま」

「お、お邪魔いたします」


私の緊張を無視するように旭さんは鍵を開けて、スタスタと家の玄関に入っていく。





「あらあら来たのね~いらっしゃーい」


すると、リビングから可愛らしい女性が小走りしてやって来た。




「ただいま」

「おかえりなさい。待ってたのよ」
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