イジワル社長と偽恋契約
「宏伸さんね…亡くなる直前にこう言ったの。「全ての罰は俺が受ける。だからお前はこれから好きなことをやって幸せに生きなさい」って」
目の奥がじわりと痛くなった。
今力を緩めたら泣いてしまいそうだ。
「亡くなってから散々泣いたわ。こんなに早く彼が逝ってしまうなんて思ってもいなかったし…でも旭や母親のお陰でなんとか立ち直って今に至るの。彼は私に莫大な財産を残してくれていて…田舎に家を建てて今は母とのんびり暮らしてる」
少しだけ涙を目に潤ませる亜希子さん。
私は手を動かしながら笑顔を向ける。
「宏伸さんの為にも明るく生きなくちゃね!だから息子の彼女が来るって聞いて楽しみしょうがなくって。生きがいが増えたわ」
嬉しそうに言ってくれる亜希子さんに、私は恥ずかしくなりながら自然に笑顔になる。
「こんな私ですけど…これからどうぞよろしくお願いします」
「そちらこそ!」
私と亜希子さんの周りにはほんわかとした空気が流れ、私は包丁を持つ手が軽やかになる。
「私…宏伸社長には本当にお世話になったし感謝しています。仕事を一から教えてくれたのも社長なので今の私がいるのは社長のお陰です。それに…旭さんと引き合わせてくれたのも社長ですし…」
旭さんが社長に就任しなかったら私達は出会ってなかった。
そしたら彼を好きになることも、私を好きになってもらうこともなかった…
「遺言書で宏伸社長が息子を跡継ぎにしてなかったら、私は旭さんと出会うこともなかったと思います…」
「…いいえ…それは違うかも」
亜希子さんはニヤニヤと笑った。
不思議に思っているとクスッと笑って言う。
「随時前からね、宏伸さんに旭に会わせたい女性がいるって言われてたのよ」
「え…」
目の奥がじわりと痛くなった。
今力を緩めたら泣いてしまいそうだ。
「亡くなってから散々泣いたわ。こんなに早く彼が逝ってしまうなんて思ってもいなかったし…でも旭や母親のお陰でなんとか立ち直って今に至るの。彼は私に莫大な財産を残してくれていて…田舎に家を建てて今は母とのんびり暮らしてる」
少しだけ涙を目に潤ませる亜希子さん。
私は手を動かしながら笑顔を向ける。
「宏伸さんの為にも明るく生きなくちゃね!だから息子の彼女が来るって聞いて楽しみしょうがなくって。生きがいが増えたわ」
嬉しそうに言ってくれる亜希子さんに、私は恥ずかしくなりながら自然に笑顔になる。
「こんな私ですけど…これからどうぞよろしくお願いします」
「そちらこそ!」
私と亜希子さんの周りにはほんわかとした空気が流れ、私は包丁を持つ手が軽やかになる。
「私…宏伸社長には本当にお世話になったし感謝しています。仕事を一から教えてくれたのも社長なので今の私がいるのは社長のお陰です。それに…旭さんと引き合わせてくれたのも社長ですし…」
旭さんが社長に就任しなかったら私達は出会ってなかった。
そしたら彼を好きになることも、私を好きになってもらうこともなかった…
「遺言書で宏伸社長が息子を跡継ぎにしてなかったら、私は旭さんと出会うこともなかったと思います…」
「…いいえ…それは違うかも」
亜希子さんはニヤニヤと笑った。
不思議に思っているとクスッと笑って言う。
「随時前からね、宏伸さんに旭に会わせたい女性がいるって言われてたのよ」
「え…」