イジワル社長と偽恋契約
そして親父が亡くなって少し経った頃…

親父の遺書が見つかり、その遺言書通り親父の会社の白鷺ハウスの次期社長に俺が正式に決まった。


親父の跡継ぎになった時の気持ちは今でも忘れない…


体が震えた。

それくらい嬉しかったのだ。


ずっと夢見てきたことが叶った。

子供の時から親父みたいになりたかったから…


やっと…親父に近づけたんだ。

失敗は許されない。

もっともっとこの会社をでかくして成功させなくちゃ。


親父に顔向けできない。



…と、固く誓ったのに。


親父の遺書にはおまけが付いていた…









「お茶が入りました」


仕事中…俺を邪魔するかのようにデスクにカップを置く女。



三井 妙。

親父の秘書をしていた社員。

顔もスタイルも人並みで点数をつけるとしたら70点くらいの女だ。


親父の遺書には俺が白鷺ハウスの次期社長になる事と、

三井を俺の専属の秘書に残すように書いてあった。



その時、親父が秘書の三井をかなりひいきしていた事を思い出し、

思わぬ付属品登場に白鷺ハウスの社長になれた喜びが一瞬薄れた。




三井を切るようならこの遺言書は無効にする。

とまで書いてあり、俺はこいつが相当仕事がきれる奴なのかと思っていたが…






「紅茶は飲まないんだ」


三井は仕事中に俺があまり好まない紅茶を出してきた。


相当仕事が出来るやつなのかと勝手に思っていたけれど…

そうでもなかったのが現実。
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