イジワル社長と偽恋契約

今日は妙に洒落込んでいたし、メイクも若干濃かった気がする。

昨日美容院に行ったとか言ってたような…確かに髪がいつもより整っていた。





「…」


俺は一瞬何か体に電気が走ったような感覚になり、気がつくと会社を出て車に乗っていた。





ブォォオォーン…


三井が新婚男と行くと言っていた店に向かう俺。

何でこんなことしてんだ…

自分が謎。



あの男に三井を取られなくないというのは…

単にあいつを変な男から守りたいだけのことなのか？


あいつを可愛がってるから

妹みたいに思ってるから…守りたい？



車のハンドルを握りながら、思い浮かべるのは三井の顔。



あいつ…あんなに可愛いかったっけな。


普通だと思ってたのに…

最近は可愛いと思える。



料理だって出来るし女らしい…



俺…あいつのこと女として見てんのか。

何でだよ…

ついこの間まで俺には婚約者がいたのに…



婚約者というフレーズに俺はある事に気がついた。







数週間前。


実は婚約を白紙したばかり…


理由は俺が白鷺ハウスに移った事で状況が変わり慌ただしいし、

結婚する理由も無くなったので丁重にお断りした。


だけど俺の中では…

断った理由に三井が関係していたんだ。



あいつに俺の婚約者の存在を知られたくなかった…


他の女のものなんて…

思って欲しくなかったんだよ…