イジワル社長と偽恋契約
「はぁ…」


午後の打ち合わせと会議から戻った旭さんは、社長室に入るなり気が緩んだのか疲労の顔を見せた。




「15時にT社が来るんだっけ…」

「はい…しかし先程連絡があって30分程遅れるそうです。道が混雑しているとかで」

「そうか」


いつもなら怒り出すところなのに、旭さんはネクタイを緩めると私の入れた熱いコーヒーを一口飲む。





「少しだけでも休んで下さい。横になるだけでもいいです…」


このままだと倒れちゃうよ…

ここのところあんまり寝てないもないし。




「…そうだな」


旭さんが仮眠室に入って行くと私はホッとして後をついていき、脱ぎっぱなしのスーツをハンガーにかける。





「妙」

「はい?」


ベッドの上で仰向けになり天井を見つめる旭さんに呼ばれ振り返ると、私の方に手を差し伸ばしている。

不思議に思いながら近づくと、旭さんは私を引っ張って寝転がりながらぎゅっと抱きしめた。





「ちょっ……会社ではダメですよ!!!」


それだけは絶対ダメ!

こんなことして宏伸社長に申し訳ないし…
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