イジワル社長と偽恋契約
時刻は19時半を回った所…

待ちくたびれたけれど全く苦ではない時間を過ごし、私は社長室を隅から隅まで掃除をして旭さんを待っていた。


そして社長室のドアが開き、持っていたハタキを置いて旭さんに駆け寄る。





「お疲れ様です」


私が近づくと旭さんは驚いた顔をした後、ふっと笑顔になる。





「帰ろうとしたんですけどやっぱり待ってることにしました。勝手な事してしまってごめんなさい…私…」



バタッ…




「あ、旭さん!?」


謝っている途中で、旭さんは急に倒れ私に寄りかかるように崩れ落ちた。


彼を必死に支えながら顔を見ると顔色は真っ青で、

首筋に手を当てるとかなり熱く熱があるようだった。





「社長が倒れました!すぐに救急車と社長室に応援を頼みます!」


至急社員に内線を入れた後、私は旭さんを床に寝かせて彼の手をぎゅっと握る。




やっぱり…無理をし過ぎたせいだ。

私がもっと管理してあげていれば…


目から涙が溢れてくる。





「失礼します!」

「社長っ!!」


男性社員が数名社長室に入って来て、部屋はパニック状態になっていた。




「救急車が来ました!」
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