イジワル社長と偽恋契約
ギ…ギギ…


旭さんの病室は個室で広々とした部屋で、付き添いの人用のベットやシャワー室も付いている。


ベットで眠っている旭さんを気遣い、パイプ椅子にスローモーションで座ってなるべく音が出ないようにする。



点滴をされた旭さんはぐったりしていて、顔色もまだあまり良くない。

熱が40度もあったらしく昼間それに気づかなかった自分が益々情けなくなる…






「…旭さん」


気がついたら名前をつぶやいていて、旭さんの手を取り祈るようにして握りしめる。


その夜はとても長く感じて付き添い用のベットに横になる事もなく、

私は朝まで旭さんにずっと寄り添っていた。





翌日。


旭さんは無事に退院し薬を処方され、

自宅で最低でも5日は安静にする必要があり私は仕事を休んで彼の自宅へ…






「いいですか?インフルエンザは感染病ですので、医師の指示がない限り自宅から出てはいけないのです!よって治るまでは安静にしてもらいますよ」


嫌でも休暇を取って元気になってもらわないとね。

私はまるで看護師のように振る舞うと、ベットに横になる旭さんは不服そうに顔をしかめた。






「…俺は仕事をする」


ベットから起き上がろうとする旭さんを、私は覆いかぶさって止めて無理やり寝かせる。
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