イジワル社長と偽恋契約
お昼を過ぎた頃、旭さんが寝室からでて来てソファーに座って一息ついていた私は立ち上がる。




「体調はどうですか?」

「…変わりないよ」

「そうですか…」


そんなにすぐに良くなるわけじゃないか…

せめて熱が下がってくれればだいぶ違うんだけどなぁ…






「お粥作ったんですけど食べられますか?」

「…それよりもお前。いつまでもここにいなくてもいいんだぞ?そろそろ帰れよ」

「え…」


旭さんはそう言うと冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを出して、半分くらい一気に飲む。





「…インフルエンザだし移したら大変だろ」


私に背を向けながら言った旭さんの言葉は正しくて、間違ったことは全く言っていない。


張り切ってエプロンまで付けた自分が馬鹿らしく思えて来て、

私は小さく頷いて返事をした後で大人しく帰る支度をした。



彼氏が体調を崩している時でさえ、私は側にいたら邪魔な存在なんだろうか…



じゃあ私は何をしてあげられる?

旭さんに私がしてあげられることはなに…?
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