イジワル社長と偽恋契約

幸せの報告

ーーー4月。

桜の開花宣言が数日前に発表され、今日はちょうど桜の見頃を迎えていた。



そんな今日は白鷺ハウスの創立50周年記念日で、

都内の有名ホテルを貸しきり社員とゆかりのある方々を招待した。


パーティー自体は普通の立食で社員達はそれぞれで行動しているスタイルだが、

社長秘書の私は常に旭さんについて出会う人出会う人に挨拶して回る。



もう何人に挨拶したしされたのだろう…

さすがに疲れたな…






「疲れたか?」

「へっ?」


旭さんが周りに気づかれないように聞いてくると、私は背筋を伸ばして視線を正す。




「ご、ごめんなさい。仕事中なのに」


思いっきり疲労を顔に出してしまいました。

今日は大事な日なのに…





「少しなら外してもいいぞ。ここを出た所にソファーがあっただろ…少し座ってろ」

「ありがとうございます」


私は人混みをかき分けて会場から出ると、

旭さんに言われた通り外のソファーに深く腰掛けてちょっとだけくつろぐ。




慣れない事するとやっぱり疲れるな…

買ったばかりの踵の高いヒールのせいか足もいつもより痛むし…


足元に目を向ける時、ふと自分の左手に手が止まり薬指の指輪を上にかざして眺める。
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