イジワル社長と偽恋契約
隣にいる旭さんを見てからかうようにニヤニヤする遥也。
香苗も「そうなの?」と言って目をキラキラさせている…
「こちらはうちの社長で…」
旭さんを仕事の上司として紹介しようと思ったのに…口がこれ以上動かなかった。
友人カップルは新婚旅行から帰ったばかりで相合傘して、私は自分の持つ傘に上司を入れての相合傘…
遥也の持つ傘に入る香苗が心底羨ましくなった。
街で偶然会ったって2人はいつも幸せそうだ…
なのに私は…
「…仕事帰りに…ちょっと食事でもって事になって……会社では皆には秘密にしてるからこんな時にしか」
びっくりする程口が勝手に動いた。
嘘をつくことには抵抗がある方なのに…今は嘘つきが上手。
そんな自分にも驚く。
言ってしまった…
こんな事言うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに…
「じゃあ…もしかして…」
「付き合ってるの!?」
雨の音に負けないくらいの声を出す2人は、いい歳をしてまるで学生のようにキャッキャとはしゃぐ。
私はやや得意げになって頷いた後…
すぐに今の状況を思い出した。
隣に旭さんがいるのに何言ってんだ私…!?
こんなのすぐに否定されるに決まってるじゃん!
それに後で何言われるか…
友達に見栄張りたいからってこんな子供っぽいことして馬鹿みたい。
ここは「なんちゃって♪」なんて言って誤魔化そう。
「…もう大丈夫だ妙。傘は俺が持つよ」
今のは全部嘘~なんて言って笑おうとしていた直後、旭さんは急に笑顔になり私の持っている傘を掴んで持ってくれた。
わけがわからずにポカーンと口を開けていると、旭さんは香苗と遥也の方を見て言った。
「白鷺旭と申します。妙とは最近付き合うようになったばかりで…仕事上は上司と部下なので、なかなかゆっくり出来ないから今日は仕事帰りにせめて飯でもって」
まるで本当に私の彼氏のように話す旭さんに、事実ではないことをペラペラと言われているのにも関わらず胸がドキドキとうるさい。
「妙の友達とは近いうちにお会いしたいと思ってたからちょうど良かった。新婚の友人カップルがいるって聞いてたのはあなた達のことだったんですね」
事前に私から2人の事を聞いていたかのように話すと、旭さんはスーツの内ポケットから名刺を出して遥也にスッと差し出した。
「申し遅れましたが、私白鷺ハウス株式会社代表取締役社長の白鷺旭と申します。今後は顔を合わせる機会も増えると思いますのでよろしくお願いします」
感じのいい雰囲気とスマートな対応で手短に自己紹介を済ませる旭さんは、本当の私の恋人のような振る舞いをしてくれた。
一方で遥也が受け取った名刺を覗き込むように見る香苗は、もう一度旭さんを見てキャーと叫ぶ。
香苗も「そうなの?」と言って目をキラキラさせている…
「こちらはうちの社長で…」
旭さんを仕事の上司として紹介しようと思ったのに…口がこれ以上動かなかった。
友人カップルは新婚旅行から帰ったばかりで相合傘して、私は自分の持つ傘に上司を入れての相合傘…
遥也の持つ傘に入る香苗が心底羨ましくなった。
街で偶然会ったって2人はいつも幸せそうだ…
なのに私は…
「…仕事帰りに…ちょっと食事でもって事になって……会社では皆には秘密にしてるからこんな時にしか」
びっくりする程口が勝手に動いた。
嘘をつくことには抵抗がある方なのに…今は嘘つきが上手。
そんな自分にも驚く。
言ってしまった…
こんな事言うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに…
「じゃあ…もしかして…」
「付き合ってるの!?」
雨の音に負けないくらいの声を出す2人は、いい歳をしてまるで学生のようにキャッキャとはしゃぐ。
私はやや得意げになって頷いた後…
すぐに今の状況を思い出した。
隣に旭さんがいるのに何言ってんだ私…!?
こんなのすぐに否定されるに決まってるじゃん!
それに後で何言われるか…
友達に見栄張りたいからってこんな子供っぽいことして馬鹿みたい。
ここは「なんちゃって♪」なんて言って誤魔化そう。
「…もう大丈夫だ妙。傘は俺が持つよ」
今のは全部嘘~なんて言って笑おうとしていた直後、旭さんは急に笑顔になり私の持っている傘を掴んで持ってくれた。
わけがわからずにポカーンと口を開けていると、旭さんは香苗と遥也の方を見て言った。
「白鷺旭と申します。妙とは最近付き合うようになったばかりで…仕事上は上司と部下なので、なかなかゆっくり出来ないから今日は仕事帰りにせめて飯でもって」
まるで本当に私の彼氏のように話す旭さんに、事実ではないことをペラペラと言われているのにも関わらず胸がドキドキとうるさい。
「妙の友達とは近いうちにお会いしたいと思ってたからちょうど良かった。新婚の友人カップルがいるって聞いてたのはあなた達のことだったんですね」
事前に私から2人の事を聞いていたかのように話すと、旭さんはスーツの内ポケットから名刺を出して遥也にスッと差し出した。
「申し遅れましたが、私白鷺ハウス株式会社代表取締役社長の白鷺旭と申します。今後は顔を合わせる機会も増えると思いますのでよろしくお願いします」
感じのいい雰囲気とスマートな対応で手短に自己紹介を済ませる旭さんは、本当の私の恋人のような振る舞いをしてくれた。
一方で遥也が受け取った名刺を覗き込むように見る香苗は、もう一度旭さんを見てキャーと叫ぶ。