イジワル社長と偽恋契約
「もしかして…妙の会社の新しい社長さんじゃないですか!?お父様が亡くなった事ニュースで観ました!」
「妙が務めてる会社だから気になって観てたんですが、あなたがそうだったんですか…」
白鷺ハウスの社長が亡くなった事や、息子が会社を受け継ぐ事もメディアにも取り上げられていたからか…2人は旭さんをなんとなく知っているようだった。
「…自分の秘書が彼女になるなんてね。でも好きになっちゃったから仕方ないですよ」
ハハハと笑う旭さんを見て私は胸がくすぐったかった。
馬の合わないこの人にそんな事言われたら寒気立つくらいなのに…
寒いどころか胸がとても熱い…
それに少しだけ嬉しい。
「そういえば…新婚旅行に行かれたんでしたね?どちらに行ってたんです?」
「イタリアです!ずっと行ってみたかったので♪」
旭さんの問に元気よく答える香苗は幸せいっぱいのオーラを出した。
香苗の夢は好きな人とイタリア旅行に行く事で、新婚旅行の行き先は無理をしてでもイタリアと決めていたのだ。
「イタリア…いいですね。今度休みが出来たら俺達も行こうかな」
「休暇でイタリア旅行なんてっ…さすが社長ですね!こんな人が彼氏だなんて妙が羨ましいな♪」
本気で羨ましいそうな顔をする香苗を見て、正直今まで感じたことのない気持ちになった。
チラリと遥也を見ると自分よりも高いところにいる存在の旭さんに、どこか嫉妬しているような顔をした。
私は…今だけこの瞬間だけ旭さんの彼女なんだ。
2人の目に映る私は…大手企業社長の…恋人…
その瞬間…
この数年間2人に抱いていたモヤモヤが消え気がした…
「…すみません、これから自宅で仕事の続きをしなくちゃならないので…今日はこれで失礼します。また日を改めてご飯でも行きましょう。ご馳走しますよ」
腕時計を見るフリをして旭さんは言うと、私の肩を抱いて自分の方にそっと引き寄せた。
大きな手と固い腕が体に当たりまたドキドキする…
こんな事男性にされたのは生まれて初めてだ。
「やった~楽しみ♪妙!近々飲みに行こうね!また連絡する~」
「あ、うん…じゃあ…」
手を振る香苗と遥也に笑顔を返して、私は旭さんに引かれるようにその場を後にする。
特に会話がないまま駐車場の入り口まで来ると…
私はハッと我に返った。
「ごめんなさい私…あんなつもりじゃなかったんですけど………」
謝ろうと顔を上げると、旭さんは私にぐっと顔を近づけて来る。
とっさに下がろうとすると後ろは壁で、私を目を細めて見つめる旭さんに追い込まれる。
「さぁ…どういう事か説明してもらうか」
どこか面白がっている表情の旭さんに、私は心の底から軽い気持ちで嘘をついた事を後悔した。
「ほら」
「…ありがとうございます」
数分後。私はビルの駐車場にいて旭さんの車の助手席に座っていた。
車になんて乗るつもりなかったけどこのまま帰る訳にもいかず、とりあえず旭さんが買ってきてくれた紅茶を受け取った。
「妙が務めてる会社だから気になって観てたんですが、あなたがそうだったんですか…」
白鷺ハウスの社長が亡くなった事や、息子が会社を受け継ぐ事もメディアにも取り上げられていたからか…2人は旭さんをなんとなく知っているようだった。
「…自分の秘書が彼女になるなんてね。でも好きになっちゃったから仕方ないですよ」
ハハハと笑う旭さんを見て私は胸がくすぐったかった。
馬の合わないこの人にそんな事言われたら寒気立つくらいなのに…
寒いどころか胸がとても熱い…
それに少しだけ嬉しい。
「そういえば…新婚旅行に行かれたんでしたね?どちらに行ってたんです?」
「イタリアです!ずっと行ってみたかったので♪」
旭さんの問に元気よく答える香苗は幸せいっぱいのオーラを出した。
香苗の夢は好きな人とイタリア旅行に行く事で、新婚旅行の行き先は無理をしてでもイタリアと決めていたのだ。
「イタリア…いいですね。今度休みが出来たら俺達も行こうかな」
「休暇でイタリア旅行なんてっ…さすが社長ですね!こんな人が彼氏だなんて妙が羨ましいな♪」
本気で羨ましいそうな顔をする香苗を見て、正直今まで感じたことのない気持ちになった。
チラリと遥也を見ると自分よりも高いところにいる存在の旭さんに、どこか嫉妬しているような顔をした。
私は…今だけこの瞬間だけ旭さんの彼女なんだ。
2人の目に映る私は…大手企業社長の…恋人…
その瞬間…
この数年間2人に抱いていたモヤモヤが消え気がした…
「…すみません、これから自宅で仕事の続きをしなくちゃならないので…今日はこれで失礼します。また日を改めてご飯でも行きましょう。ご馳走しますよ」
腕時計を見るフリをして旭さんは言うと、私の肩を抱いて自分の方にそっと引き寄せた。
大きな手と固い腕が体に当たりまたドキドキする…
こんな事男性にされたのは生まれて初めてだ。
「やった~楽しみ♪妙!近々飲みに行こうね!また連絡する~」
「あ、うん…じゃあ…」
手を振る香苗と遥也に笑顔を返して、私は旭さんに引かれるようにその場を後にする。
特に会話がないまま駐車場の入り口まで来ると…
私はハッと我に返った。
「ごめんなさい私…あんなつもりじゃなかったんですけど………」
謝ろうと顔を上げると、旭さんは私にぐっと顔を近づけて来る。
とっさに下がろうとすると後ろは壁で、私を目を細めて見つめる旭さんに追い込まれる。
「さぁ…どういう事か説明してもらうか」
どこか面白がっている表情の旭さんに、私は心の底から軽い気持ちで嘘をついた事を後悔した。
「ほら」
「…ありがとうございます」
数分後。私はビルの駐車場にいて旭さんの車の助手席に座っていた。
車になんて乗るつもりなかったけどこのまま帰る訳にもいかず、とりあえず旭さんが買ってきてくれた紅茶を受け取った。