イジワル社長と偽恋契約
夫人の麗子さんは棺桶に向かって涙を流していた。
それを見た私もたまらず涙が流れハンカチでそっと涙を拭く。
ん…?
涙を拭きながらふと何気なく目を向けた方に見慣れない男性が立っていて、社長の遺影をじっと眺めている。
あの人誰…?
あんな人初めて見たけど…
社長の仕事関係や家族、交友関係まで把握していた私だったが…
その男は初めて見る顔だった。
歳は私より少し上くらいだろうか…
黒い髪は短すぎず長すぎずといったところ。
ちょうどいい肌の色はとても綺麗で、すっとした鼻筋と薄い唇。
きりりとした眉に鋭くてどこか優しい目…
身長は見た目だけで180cmを余裕で超えているし、ただ立っているだけなのにとても目立つその人に私は一瞬で釘付けになってしまった。
何見とれてんだろ…
中々見かけない人でちょっとイケメンだったからつい…
ってゆうか本当に何者?
誰かの息子さんとか…?
そうだとしてもこんな人見たことないもんな…
「…っ!」
ジロジロと見ていた私に気づいたその男性は、私に気付くとじっとこっちを見て眉をしかめていた。
うっ…目が合っちゃった!!
どうしよう…
この際思い切って話しかけてみようかな。
でも「あなたと社長のご関係は…?」なんて聞いたら失礼だよね。
もしかしたら取引先の重要な人物である可能性も…無きにしろあらずだし、うーん。
「ぁ…」
話しかけようか迷っていると、男性は私から目をそらしてその場から離れてどこかに行ってしまった…
タイミング逃しちゃった…
良かったのか悪かったのか…でも謎が残って後味悪いかも。
あの人誰だったのか気になるし…
それにしてもカッコ良かったなぁ…見た目だったら最近の中で断トツ1位だった。
いやいや!私ったら社長のお葬式でこんな浮かれた事を考えるなんて…罰当たりも良いところだよ…
私は写真の遺影の前に立ち、もう一度手を合わせて合掌した後深く頭を下げる。
社長…
本当に突然の事で私は言葉が見つかりません。
どうしたらいいのかまだわかりませんが会社はどうにか致しますので…ご安心ください。
先代から築き上げてきたこの白鷺ハウスは、私達社員が守り抜きます。
だからどうか安らかに眠って下さい。
もう一度社長の遺影に手を合わせると、私の目からまた涙がこぼれ落ちた。
数週間後。
予想していた通り、白鷺ハウスの社内は落ち着きがなくバタバタと慌ただしい。
社長が亡くなった今、我が社はトップ不在のままただ時間だけが過ぎている…
「ちょっと休憩したら?」
デスクに座り請求書をまとめていると、総務の長谷川 亜美(あせがわあみ)が私の肩を叩いて声をかけてきた。
男性が半分以上を占める職場の中で彼女は女性社員で同い年。しかも同僚の亜美とは仲が良くプライベートでも交流があった。
私はオフィスから出て亜美と食堂があるフロアへ向かい、その一角のカフェでお茶をする事にした。
それを見た私もたまらず涙が流れハンカチでそっと涙を拭く。
ん…?
涙を拭きながらふと何気なく目を向けた方に見慣れない男性が立っていて、社長の遺影をじっと眺めている。
あの人誰…?
あんな人初めて見たけど…
社長の仕事関係や家族、交友関係まで把握していた私だったが…
その男は初めて見る顔だった。
歳は私より少し上くらいだろうか…
黒い髪は短すぎず長すぎずといったところ。
ちょうどいい肌の色はとても綺麗で、すっとした鼻筋と薄い唇。
きりりとした眉に鋭くてどこか優しい目…
身長は見た目だけで180cmを余裕で超えているし、ただ立っているだけなのにとても目立つその人に私は一瞬で釘付けになってしまった。
何見とれてんだろ…
中々見かけない人でちょっとイケメンだったからつい…
ってゆうか本当に何者?
誰かの息子さんとか…?
そうだとしてもこんな人見たことないもんな…
「…っ!」
ジロジロと見ていた私に気づいたその男性は、私に気付くとじっとこっちを見て眉をしかめていた。
うっ…目が合っちゃった!!
どうしよう…
この際思い切って話しかけてみようかな。
でも「あなたと社長のご関係は…?」なんて聞いたら失礼だよね。
もしかしたら取引先の重要な人物である可能性も…無きにしろあらずだし、うーん。
「ぁ…」
話しかけようか迷っていると、男性は私から目をそらしてその場から離れてどこかに行ってしまった…
タイミング逃しちゃった…
良かったのか悪かったのか…でも謎が残って後味悪いかも。
あの人誰だったのか気になるし…
それにしてもカッコ良かったなぁ…見た目だったら最近の中で断トツ1位だった。
いやいや!私ったら社長のお葬式でこんな浮かれた事を考えるなんて…罰当たりも良いところだよ…
私は写真の遺影の前に立ち、もう一度手を合わせて合掌した後深く頭を下げる。
社長…
本当に突然の事で私は言葉が見つかりません。
どうしたらいいのかまだわかりませんが会社はどうにか致しますので…ご安心ください。
先代から築き上げてきたこの白鷺ハウスは、私達社員が守り抜きます。
だからどうか安らかに眠って下さい。
もう一度社長の遺影に手を合わせると、私の目からまた涙がこぼれ落ちた。
数週間後。
予想していた通り、白鷺ハウスの社内は落ち着きがなくバタバタと慌ただしい。
社長が亡くなった今、我が社はトップ不在のままただ時間だけが過ぎている…
「ちょっと休憩したら?」
デスクに座り請求書をまとめていると、総務の長谷川 亜美(あせがわあみ)が私の肩を叩いて声をかけてきた。
男性が半分以上を占める職場の中で彼女は女性社員で同い年。しかも同僚の亜美とは仲が良くプライベートでも交流があった。
私はオフィスから出て亜美と食堂があるフロアへ向かい、その一角のカフェでお茶をする事にした。