イジワル社長と偽恋契約
この気持ちは何なのか…

早く知れたらいいのに……


もっと単純になりたい。

そうしたら10代に戻ったみたいに恋が出来る…






ブブ…


するとスーツのポケットに入れていた私のスマホが震え、短い感覚でバイブレーションの音が車内に響く。






「電話か?」

「いえ…多分LINEですよ」


きっと香苗か真希からだな。

あ、それかお母さんからかも…最近連絡してないからな。





「今は昼休みなんだしスマホの使用は許可する」

「後で見ますから大丈夫です」

「…何か緊急な連絡って事もあるだろ。後回しにすると後悔するかもしれない…俺も経験してる」


ハンドルに手を添えて運転する旭さんの横顔は、どこか寂しげに感じた。


もしかして…何か悲しい過去があるんだろうか。

それを聞くにはまだ私達の関係は浅すぎる…


今私が出来ることは自分のスマホを確認する事。






『よ。今夜暇?良かったら飲まないか?』


LINEを送って来たのは遥也だった。





「やっぱり友達からでした。今夜の飲みのお誘いです」


旭さんに報告しながらも「OK」のLINEスタンプを押す。




「友達って…食事会に来てた友達?」

「そうです。遥也って覚えてますよね?あの新婚の」

「…男の方から誘って来たのか?それって少し危ないだろ」


少し驚きながら車を運転する旭さんに、私はクスッと笑いながらすぐ答える。
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