イジワル社長と偽恋契約
「違いますよ。きっと香苗の代わりに遥也が私に連絡して来ただけのことです。あの2人付き合ってる時からよくやるんですよ」


香苗と遥也はいつもセットだったから、どちらかが私を誘って来るということはイコール3人で飲みに行こうという意味。


女子だけの時は大抵香苗から提案して来て、必ず冒頭で「女子会しよう」と言ってくるし。






「怪しいな。男が誘って来る時は大抵やましいことがある時だろ」

「そんなんじゃないですって…」


そんな理由ないでしょう。

旭さんはあの夫婦を知らないだろうけど、本当にこれがいつものスタイルで…





「俺はお前を心配して言ってるんだ。傷付くのはお前だぞ?それに相手は元好意を抱いていた男だろ?」

「それはもう過去ですから」


昔の話出して来なくてもいいってっ!

心配してくれてるのは嬉しいけど、今は遥也の事友達としか思ってないし…


とっさに過ぎった胸の独り言が私を一瞬停止させた。




あれ…

私いつから遥也に対して、こんなに距離を置いた存在に考えられるようになったんだろう…


いつも諦めたつもりでも結局遥也が心の片隅に住み着いて苦しかったのに…


旭さんに恋人のフリをしてもらったあの食事会の後も、

やっぱり少しだけ未練があったのは事実だった。



だけど今は違う。

私…遥也の事友達として割り切れる…


いつからこんなふうに思えるようになったの……
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