イジワル社長と偽恋契約
「あれだけベロベロになれば覚えてないのも当然だけどな。一応女だしソファーで寝かせるわけにはいかないから、俺のベットで寝かせてやったまでだ」

「す、スミマセンでした…」


記憶がない程飲むなんて久しぶり。

よっぽど旭さんに気を許していた証拠…ということはますます怪しくなってくる。






「あの…変なこと聞きますけど…」

「え?」

「昨日の夜は何にもなかったですよね?」


心臓がバクバクしながら聞くと、旭さんは一瞬キョトンとした後口元を緩めてクスッと笑った。





「さぁ…どうだったかな」


意地悪な笑みを浮かべる旭さんを見て、私の顔はカッと熱くなる。





「誤魔化さないで下さいっ」

「…悪いけど昨夜の事は俺の口からは言えないな。ただ言えることは…」


旭さんはニヤニヤしながら私に近づくと、私の耳元に口を近づけて小声で呟いた。





「お前って…酔うと結構色っぽいんだな」

「な゛っ…!」


からかうように笑う旭さんはそう言い残すとその場で立ち上がり、寝室から出て行った。

一人ポツンと取り残された私は半ば放心状態になる。



絶対何も無かったよね!?

そうに決まってるっ…


わかってるのにドキドキしちゃう…


私はガバッと立ち上がりふぅと一息ついて落ち着くと、ベットのシーツと掛け布団、枕を整えた。



まだ早いけど目が覚めちゃったし起きよう。

旭さんに熱いコーヒーでも頂いて落ち着かせてもらおうかな…





「三井」

「…何でしょう?」
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