イジワル社長と偽恋契約
「…」


その時そのプレゼントらしき包装紙の上に、小さめのメッセージカードがあるのが見えて、

よく見てみると「愛を込めて…megumi」と可愛らしい字で書いてあった。






「場所わかったか?」


カードに目を奪われていたら後ろから旭さんの声が降ってきて、私は慌ててビクッと体を動かす。






「え、ああ…はい!これ!」

「サンキュ」


手に持っていたロンTを渡すと、旭さんは袋からそれを出してタグを手で引きちぎる。





「ここの荷物すごいだろ?整理したいんだけど時間がないんだよな」

「私で良ければ今度やりますよ」

「助かるよ」


ロンTを着ている旭さんと話している間にも、さっきのカードの内容が頭をぐるぐると駆け回る。



メグミって誰…?

旭さんにプレゼントを送るってことはよっぽど親しい人なの…?





「整理っていっても捨てる物がほとんどだな」

「…でも中にはプレゼントとかもあるんじゃないですか?それは処分したらまずいですよね」



遠回しにさっきのプレゼントの事を聞き出そうと、私は「プレゼント」というキーワードを旭さんに投げつけた。







「あー…そこに積んであるプレゼントあるだろ?それは処分していいよ」

「え…」


旭さんはカードがあったあのプレゼントの山を見て少し嫌な顔をしたあと、そう呟いた。





「…どうしてですか?プレゼントなのに…」

「……どうせ使わないし邪魔だから。それより朝飯作ってくれ」


どうでも良さそうに言い部屋から出ていく旭さんを見て、

私はあのプレゼントの差出人が余計に気になった。
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