イジワル社長と偽恋契約
「へ、変な事言わないで下さいっ」

「変じゃねえだろ。離れるな」


私の手首を掴むと、旭さんは無理やり自分の方に引き寄せようとする。





「やっとお前とこうなれたんだからもう離れるなよ」


子犬のようにしゅんとしながら言う旭さんを見て、

力を入れていた腕は一気に緩み私は言われるがままに、また旭さんにぎゅっと抱かれに行く。



ずるい…あんなの反則…

わざとだとしても言うこと聞いてしまう…






「…かわいいな妙。何でそんなかわいいの?」

「そ、そんな事ないです…」

「ほらその顔。たまらないね」

「み、見ないで下さい!」


両手で顔を覆い、隠すと旭さんはクスッと笑った。


嘘つき。

私の反応見る為にわざとそんな事言ってる…





「愛してるよ」


顔を隠している私の手を解くと、旭さんは優しく微笑みながらそう言った。





「私も…」


旭さんが好き。

この世で一番大好き…





「やばいな…」

「へ?ぁっ…」


耳元でそう呟いた後、いやらしい手つきで私の脇腹を触ってくる旭さん。

くすぐったくて体がビクッと反応する。





「またスイッチ入った…」

「う…」


この人は本当に…

そういうことを軽々しく口に出す…






「今夜は寝かすつもりないから」


何だかんだ言って流されてしまう。

これが惚れた弱みというやつなんだろうか…


でも嫌じゃない。

むしろ甘ったるくてとろけそうだ…
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