ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
お兄ちゃん
兄現る。
朝、布団から出るのが辛い冬。
高校1年の冬休みが終わり、今日から学校。
「おはよー。
新学期早々、早いね〜!」
あたしは、マフラーと手袋を外しながら、親友の小夜ちゃんに話しかけた。
小夜ちゃんは、背が163㎝、顔はモデルさんみたいにキレイ整ってる。
茶色に染められた真っ直ぐな髪が背中まで伸びてて、とっても綺麗なの。
おまけに勉強もできて、スポーツ万能。
バレー部に所属していて、1年にして、レギュラーで活躍している。あたしの憧れの存在。
「まぁね…
早い方が電車空いてるしね…」
少し不機嫌な声で、文庫本を閉じて言った。
「どーしたの?」
「ううん! なんでもないよ!
英語の課題、やってきた?
結構、難しかったから美雨できたかなぁと思って」
ゔっ、さすが小夜ちゃん…
よくわかってる…
あたしは、
『新谷 美雨(あらや みさめ)』
150㎝の小さな背に、なんの取り柄もない顔。
勉強もできなければ、スポーツもできない、どーしようもない落ちこぼれ…
こんなあたしと親友になってくれた小夜ちゃんには、いくら感謝しても足りないくらい!
小夜ちゃん、大好き!
「小夜ちゃん!
教えてください、お願いします!」
カバンから、課題を出すと小夜ちゃんの顔の前に出した。
「サッサと、やっちゃお!
先生来ちゃう」
あたしから課題を取り上げると、どこ?
とペラペラめくりながら見てくれる。
とっても世話好きなんだ。