ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
スタートライン近くに立っていた人たちが一斉に走り出す。
お兄さんは…
あっ、いた!
後ろの方にいたのか、走り出しは遅い。
でも、みんながバラけて道が開けてくると待ってましたとばかりにスピードが上がった。
グランドを一周してから、外へと走り出す。
そのとき、お兄さんがあたしを見た。
マスクと大きなメガネ。
こんなときまで、マスクしたままなんだ…
大きく振ってる腕の先の手が、ヒラヒラっと揺れた。
あっ、手を振ってくれた…
少し、顔が赤くなるのを感じた。
少し、鼓動が早くなるのも…
お兄さん…
頑張ってください。
そう祈りながら、見てなくなるまで背中を見つめ続けた。