ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
「小夜、用が済んだら戻って。
オレの貴重な睡眠時間がなくなる…」
さっきまでの落ち込んでた声はどこに?!
眠たそうな声で、机に顔を伏せた。
「あっ、ごめん。
美雨、行こう」
あたしの手首を持って、引っ張るように教室を後にした。
ズンズン歩き、階段の踊り場に来た。
急に立ち止まると、前を向いたまま
「美雨…
私のこと嫌いになったよね…?」
「えっ? なんで?」
キライになるって?
小夜ちゃんの言っている意味がわからなくて、戸惑った。
「図書室で、かなり驚いたでしょ?
幽霊が私の兄貴って感じじゃない…」
幽霊?
「ん?
お兄さんは生きてるよね?」
小夜ちゃんが、勢いよく振り返った。
その顔はとても驚いていて…
なんで?
「え… うん、
生きてるけど…」
「だったら、大丈夫。
あのときは、暗かったし、心寂しくなってたから、ビックリしちゃったけど…」
「怖く、ないの?」
怖い?
「怖くないよ?
だって、小夜ちゃんのお兄さんでしょ?」
足の力がなくなったように小夜ちゃんがペタリと座り込んだ。
「小夜ちゃん?!
大丈夫??」
慌ててあたしも小夜ちゃんの前に座り込んだ。
「絶対、美雨に嫌われたって思った。
これから、また一人になるんだって覚悟してたんだけど…
やっぱり一人は嫌だよ…」
目の前にいるあたしに急に抱きつくと、わんわん泣き出した。
あたしの耳元で何度もありがとうと言いながら…