ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話




一年の頃は毎朝、自分で行こうとしないオレは車で母さんに送ってもらった。

責めることも励ますこともなく、ただ毎日笑顔で送ってくれた。

帰りは、とにかく早く帰りたくて終わったら駅まで走った。

歩いてたら絶対乗れない時間の電車に乗ってた。誰にも会わないのが、楽だった。


そんな一年だった…



こんな生活もそろそろやめないと…漠然と思っていた頃、小夜の受験。



「小夜が一緒の高校に来たら、朝は電車で行けるかもなぁ…」


軽い冗談のつもりで言った一言が、小夜の人生を狂わせるなんて思いもしなかった。



オレの一言で、両親は小夜を説得し始めた。






父さんが会社を経営していて、母さんもそれを手伝っている。オレを送ることで、時間を取られ仕事が深夜になることが多くなった。


その結果を小夜を同じ高校に行かせることで解決するならと両親は考えた。


冗談だったのに…


こんな生活から抜け出そう…

2年からは自分で行こうと思ってたのに…


小夜には、夢があったのにオレはそれを潰してしまったんだ…




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