ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話


ぴゅーー…


どこだ?ここ?!

とっさに降りたはよかったけど、全く知らない駅。


さっ、寒い…


風の当たらない壁のある場所まで移動する。


次の電車に乗れば大丈夫!


そう簡単に考えて、その場所で電車を待った。



次の電車…


その次の電車…


あたしは、乗ることができなかった…


さっきと同じ満員電車だったから…


身体がすくんで、動かなかった…




どのくらい時間が経ったのだろう…




ピロピロリン…ピロピロリン…


ケータイが鳴り出した。


凍えた手で通話ボタンをやっとの思いで押した。


「もし、もし…」


唇も思うように動いてくれなくて、なんとか声を出した。

『もしもし!美雨?

もう家?

今日は、ありがとね!』


…小夜ちゃんだ…



寒くて、心細くて、今まで堪えていた思いが弾けた…


「うぅ…小夜ちゃん… あぁ〜ん…」


どーしたの?!美雨?!

戸惑う小夜ちゃんの声を聞きながら、知っている声が聞こえて、さらに安心から大粒の涙があたしの頬を伝った。


< 75 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop