ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
ぴゅーー…
どこだ?ここ?!
とっさに降りたはよかったけど、全く知らない駅。
さっ、寒い…
風の当たらない壁のある場所まで移動する。
次の電車に乗れば大丈夫!
そう簡単に考えて、その場所で電車を待った。
次の電車…
その次の電車…
あたしは、乗ることができなかった…
さっきと同じ満員電車だったから…
身体がすくんで、動かなかった…
どのくらい時間が経ったのだろう…
ピロピロリン…ピロピロリン…
ケータイが鳴り出した。
凍えた手で通話ボタンをやっとの思いで押した。
「もし、もし…」
唇も思うように動いてくれなくて、なんとか声を出した。
『もしもし!美雨?
もう家?
今日は、ありがとね!』
…小夜ちゃんだ…
寒くて、心細くて、今まで堪えていた思いが弾けた…
「うぅ…小夜ちゃん… あぁ〜ん…」
どーしたの?!美雨?!
戸惑う小夜ちゃんの声を聞きながら、知っている声が聞こえて、さらに安心から大粒の涙があたしの頬を伝った。