ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
きちんと理由を話してくれたので、怒られずに済んだ。シドさんが帰って、小夜ちゃんが心配していると思ってメールした。
そしたら、すぐ返事が来た。
やっぱり心配させてたんだ…
具合が悪いのわかってたけど、謝りたくてちょっとだけ電話した。
「体調どぉ?」
『うん!だいぶいいよ!
美雨のシチューが美味しかったから!』
だいぶ、元気な声になっていてホッとした。
「今、シドさん帰ったよ。
会ったら、ありがとうって伝えてね」
『シドさん?』
「小夜ちゃんの親戚の人の名前、違った?」
『えっ、あぁ… シドさんね!
合ってるよ!合ってる!
伝えるから…』
やっぱり名前を教えたくなかったのかも。小夜ちゃんにも口止めしてて、あたしが知ってるからビックリしたんだ…
本当に悪いことしちゃった。
もう、関わらないようにしないとね…
『帰るの遅くなっちゃったけど大丈夫だった?』
小夜ちゃんが、心配して今度は聞いてくれた。
「うちのお母さんが、慌てて出てきて。
そのとき、事情を説明してくれて助かっちゃった。
痴漢のことも言わないでいてくれて…
お母さん、心配性だからそんなこと言ったら大変なことになってたから…」
『そーだったの?
よかったね!』
「うん!
でも、そのとき、‘妹’って言ったんだ…」
『えっ?!』
「なんでだろうね?」
『あぁ… きっとさぁ…
小さい時から兄弟みたいに過ごしているから、‘妹みたい’って意味だったんじゃないかなぁ?』
「あぁ! そーだね!
あの場で、親戚ってなんか説得力ないもんね!」
『うん! そーだよ!
あの人、あぁ見えて賢いから!』
そーなんだ!
イケメンな上、賢いなんてすごいなぁ…
迎えに来てくれたとき、本当に安心したもんなぁ…
小夜ちゃんにきちんとお礼を言って電話を切った。
早く風邪が治りますように…