ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
こんな時間に学校に来たの初めて。
誰もいない廊下を、小夜ちゃんと並んで歩いた。
「お兄さんを進級させるために、何をすればいいかなぁ?」
ずっと考えているけど、わかんない。
教室に行っちゃえば、学年が違うから授業を受けてるかわからないよね…
「学校に来れば、ほとんど教室から出ないから大丈夫なの。
だから、逆に移動教室がダメでね…
科学の実験とか。
一番ダメなのが体育。
私が呼びに行ってやっとでね…」
あっ!
だから、たまに授業の間の休憩にいないときがあるんだ。
トイレだと思ってた…
長いなぁと思っていたことは秘密にしておこう…
「でも、私の授業が移動のときは呼びに行ってたら遅れちゃうから…」
うちの学校は、バカだから校則も緩いんだけど、小夜ちゃんはバレー部だからそーゆーわけにはいかないの。
顧問の先生が
「文武両道」
をモットーにしていて、赤点はもちろん、早退遅刻欠席などの生活の乱れは、プレーにも現れると厳しくチェックされている。
「兄貴のこと知ってるから、多少多めにはみてくれてるんだけど、他の子の手前
、私だけ特別になるわけにいかないから」
お手上げと言わんばかりに、大きなため息を吐いた。