ダサい兄貴がいる友達と仲良くなる話
「それって何曜日の何時間目?」
「火曜の4時間目。
うちは、音楽でしょ…」
体育館と、音楽室…
ほぼ、端と端じゃない!
それは、足の速い小夜ちゃんでも厳しいよ…
「小夜ちゃん!
あたしがその時間、引き受けるよ!」
「いや、ダメだよ!
美雨遅刻しちゃうし」
「大丈夫!
あたしは、そんなに休んでないから、これからずっと遅刻しても問題ないから!」
「そんなわけにいかないよ!
兄貴のために、そんなことはさせられない!」
ブルンブルンと髪を乱しながら首を横に振って、精一杯の意思表示。
「体育がなんとかなれば、お兄さん進級できるんでしょ?
あたしも手伝うって約束したんだから、そのくらいさせてよ。
きっと大丈夫。
うまくいくよ!」
小夜ちゃんの乱れた髪をナデナデとなおしながら、あたしは大きく頷いた。
きっと大丈夫!
「美雨…」
ギュッと抱きつかれた。