rain kiss『完』
「今は思いださないほうがいいー…?あの高野っつー医者何ほざいてんだよっ。」
龍平がいきなり怒声をあげた。
ー…私が思いだせないから?
なにを忘れてるの?
「龍ちゃんっ!!落ち着いてっ。」
「落ち着いてられっか!!新はなっ…新は…」
「龍ちゃん…。」
「龍平君…。」
「毎日、夏休みに入っても毎日、午前にはココにきて、消灯時間まで優美ちゃんの手ぇ握ってたんだよ!!飯なんか喉通らねぇって…。朝飯も昼飯もなんも食べねーで優美ちゃんのそばにいて…。優美ちゃん…思いだせよ。………。新のコト思い出してやってよ…。」
「龍ちゃん、今それを優美に言ったって、何も変わんない。優美が自力で思いだすまで。」
取り乱してる龍平君を佳奈未が抱きしめている。
「……。佳奈未も龍平君もごめん。新君のコト、本当に何もわからないの。」