rain kiss『完』
side、新




「無理。あんた、俺の好みじゃないから。」

「さ…最低!そんな人だと思わなかった。」



バチンッッ



「……っ。痛。」

女は走って消えていった。
誰がお前なんかとつきあうかよ。
こんな大雨の日に朝っぱらから呼び出しやがって…。



あ…、あの日もこんな大雨だったな。

……俺がまだ小学校の頃…

『雷怖いよー。』


知らない子が学校の門で泣いていた。
俺はたまたま委員会だから早かったんだ。早くきすぎたんだ。


背が小さくて、年下かな?…て思っていた。


『俺が居るから大丈夫だよ。』



女の子の名前は知らない。ただ、俺に泣きついてきた。
俺たちは雨に濡れながらお互い寄り添ってたんだ。

雷が止んだら、その子は俺から離れて 『ありがとう。お兄ちゃん。』

最高の笑顔を向けて居なくなった。

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