レインリリーで待ってる





「例えば、『洒落』って漢字を俺たち勉強会メンバーで置き換えるとするやろ?」




「う、うん……」




「ただ、優衣は、酒という字やと思っとったわけやから、ここでは、酒に落ちるで『酒落』と表す」




「それで?」




「ほいで、俺は優衣のことが好きで、優衣は公生のことが好きや。んで、公生と来栖の好きな奴はわからんし、おらんかもしれん。そうやな?」




「え? ちょ、ちょっと……」




それって、つまり……。




「それがでも、もし間違った方の『酒落』っちゅう意味やったとしたら? ほんまの漢字が『洒落』で、俺らの感情の矢印がまるっきり違うものやったとしたら? もし、今までないと思っとった感情の矢印が、実は存在したとしたら?」




「それって……加持くんが実は、他の人が好きだってことか、明日菜か公生くんが……」




すると、加持くんは私の口を人差し指で押さえた。




「ええか? これはプライバシーのためにはっきりとしたことは言えんけど、優衣のことを思って、尚且つ、警告にも似たようなことやから、言うけどな……





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