レインリリーで待ってる
私は、深呼吸を2回して、落ち着こうとした。
でも、こんなに公生くんを近くに感じてしまうと、落ち着こうにも、落ち着けなくて、心拍数はぐんぐん上昇中。
落ち着くよりも、勢いで言ってしまえということで、私は、拳を握りしめた。
「あ、あの!! 私に勉強を教えてください!!!」
言えた。やっと言えた。
すると、公生くんは、きょとんとして、「勉強?」と聞いてきた。左手は、前髪に戻っている。
「そ、そうです! 公生くん、勉強できるから。その、友達の明日菜と一緒に……」
「明日菜? ああ、来栖さんか」
「そ、そうです! 来栖です! 来栖明日菜。10月2日生まれで、O型の……」
私がそこまで言うと、隅で隠れていた明日菜が「言わんでいい!」と私の頭にチョップをしてきた。
「というわけだから、お願いできないかな?」
明日菜も一緒にお願いしてくれて、公生くんは、またクスッと笑った。
「別に、いいけど」
まさかの答えだった。