レインリリーで待ってる
「だから、不機嫌だったの?」
「まあ、これだけならいいんだけど……」
あ、いいんだ。1点はいいんだ。
「これをたまたま、加持に見られたの」
「加持って……『加持 政樹』くん?」
「そう。その加持。あいつったらこれ見て、何て言ったと思う?『逆に難しいんやないか?』だってさ! ああ、関西人ってみんなこうなのかしら!」
加持政樹くんは、私たちと同じクラスで関西人の男の子。
明るくて、うるさいくらいなんだけど、男女隔たりなく誰とでも仲良くなれる、恥ずかしがり屋な私とは、正反対の人。
「でも、いいじゃん。今日から公生くんに勉強教えてもらうんだし!」
「信用になるのかねー、果たして……」
「えー? 言い出したの明日菜じゃん。何でそんなこと言うかな……」
「だって、昨日のあれ。あざといでしょ?」
「あざとい?」
「そう。あざとい。はっきり言って、幻滅したかなー」
幻滅って……明日菜って結構ひどいかも。