レインリリーで待ってる





私たちがテーブルについたタイミングで、おじさんがコーヒーを出してくれた。




「ここ、よく来るんだよ。本読むのに落ち着くから」




公生くんは、傍にあった角砂糖を5つコーヒーにポトンっと落とした。




「あの……公生くん……」




「なんだ?」




「砂糖、入れ過ぎじゃない?」




「ああ、俺、苦いのダメだからさ……」




じゃあなんでコーヒー注文したんだろ……まあでも、大人ぶって、実はおこちゃまで、ちょっとかわいいなと私は思ったが、明日菜は、厳しい表情で、きっと私の真逆のことを考えているんだろうなと思う。




「とりあえず、コーヒー飲んで落ち着いて、それから勉強始めようか」




公生くんの真似をして、私も角砂糖を5つ、ポトンっと落とした。





< 21 / 269 >

この作品をシェア

pagetop