レインリリーで待ってる





それから勉強会が始まったんだけど、公生くんは、本当に頭がいいだけじゃなくて、教えるのも上手かった。




「数学ってのは、公式覚えて、それを応用で当てはめるだけだから。これとかよく出るよ」




そう言って、右手に持ったシャーペンで公式を差しながらも、左手は前髪をいじっていて、やっぱりかっこいい。




明日菜も明日菜で、「ここ、合ってる?」とか質問したり、確認したりと、真面目に勉強をしている。




好きな人の前なのに、なぜだろう……昨日みたいに、心拍数が上昇することはない。




確かに、ドキドキはしてるけど、それでもどこか落ち着いて、きっと『レインリリー』だからじゃないかなと思う。




「おい、優衣。聞いてんの?」




あ! い、いいいいいいま、公生くんが名前で呼んでくれた!!




し、しかも、呼び捨て!!





< 22 / 269 >

この作品をシェア

pagetop